自然素材で家を建てる、リフォームする時の工務店の選び方 〜自然素材の家はカビないのか?〜

檜興業の代表の檜 幹男です。

今回は前回のブログ「自然素材で家を建てる、リフォームする時の工務店の選び方」の続きを書いてみたいと思います。

 

さて、皆さんはなぜ自然素材の家を建てようとしているのですか?

「そりゃあ、自然素材の家はカラダにやさしいって聞いたから」

きっとこんな感じだと思います。

 

自然素材の家は本当にカラダにやさしいの?

では質問です。

なぜ自然素材の家はカラダにやさしいと言われているのでしょうか?

自然素材を売りにしている住宅会社で新しく家を建てたりリフォームをして意気揚々と引っ越しをしたのに、しばらくすると子供さんにアトピーが出たとか、喘息などの呼吸器の病気が出たというお話を聞かれたことはありませんか?

実は住宅の健康被害で最も多いのが、シックハウス症候群なのです。

 

シックハウスの原因

シックハウスの原因は多く分けると2つあると思います。

ひとつは、建材から出るホルムアルデヒドという有害物質が人体にいたずらをすることです。

特に子供さんはカラダが小さく、抵抗力も弱いので、症状が出るときは顕著に出たりします。

アレルギー体質のお子さんなどは特に要注意です。

ただこれに関しては、最近では建材、特に新建材と呼ばれる加工された柱や梁、合板やフローリングでも、どれくらい有害物質を排出するかを厳しく規定し、程度によって星がいくつ付くかで表示していたりします。

俗に言われる「星5つ」=ファイブスターの表示がある建材を使用していれば、それほど気にすることはありません。

 

やっかいなのはカビ?

もうひとつは、知らず知らずのうちに発生するカビが原因になることです。

こっちは意外に厄介なのです。

「え?自然素材はカビが生えないんじゃないの?」

そう思われるのも仕方ありません。

多くの自然素材を扱っている住宅会社でも、「当社は自然素材の家ですから、カビ対策も心配ありません」と言っていますからね。

ところで、カビってどんな条件が整えば発生するのでしょうか?

はい、水分や湿気ですね。

自然素材の住宅会社の中には、「ウチは釜で無理矢理乾燥させた材料ではなく、自然乾燥させた材料を使っている」というのを売りにしている会社があったりします。

理由は、自然乾燥させると木目も非常に綺麗ですし、色合いもとても綺麗だからです。

でも、木は自然乾燥だと完全に水分が抜けきるには5年〜6年はかかると言われています。

もちろん含水率が高いと反ったり割れたりしますからそうならない程度の含水率になるまでは乾かすのですが、やはり自然乾燥だとどうしても木の内部に水分が多く残ってしまいます。

だから自然乾燥の材料を使うと必然的にカビが生える確率はアップしてしまうというわけです。

「でも、内装の壁に漆喰や珪藻土を使えば大丈夫なんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、漆喰や珪藻土でもそこまでの吸湿性能はありませんから、結局カビてしまいます。

それに比べると釜で人工乾燥させた材料は強制的に水分を抜くわけですから、見た目こそ燻製のような色になりますが含水率は明らかに低くなり、カビが生える余地はないというわけです。

 

結論、カビと共生したくなければ、自然乾燥の構造材を使う自然素材の会社ではなく、人工乾燥させた構造材を使う自然素材の会社を選びましょう!

 

家の構造躯体を空気の層で覆うこと

シックハウスの原因で厄介なのはカビだということは理解いただけたと思います。

では、構造材以外で気をつけるところはどこか書いていきたいと思います。

まずは下の写真を見て下さい。

コップに氷と水を入れてみました。

左から、「安物の焼酎グラス」「バカラのロックグラス」「安物だけど空気層のあるグラス」という順番です。

空気層と結露の実験1

 

この3つのグラスが20分後にはどうなったでしょうか?それが下の写真です。

空気層と結露の実験2

 

一目瞭然ですね。

左の安物の焼酎グラスは、結露になった水分がテーブルに水たまりを作ってしまいました。

真ん中のバカラのグラスは、結露こそ起きましたがさすがバカラ。

グラスの底部分を厚く作っているのでテーブルに水はたまりませんでした。

右の安物だけど空気層のあるグラスは、水たまりはおろか結露すら起きていません。

 

結論、家の構造躯体は空気の層で覆いましょう!

 

断熱材は素材より施工が大事

皆さん、ちょっと古めの家、特に建売住宅などでは、家の北側の外壁が一面カビで変色してしまっているのを見たことがあると思います。

気付かなかったなぁと言う方は、近隣の家の北側面を見てみて下さい。

これは、断熱材がきちんと施工されていなかったことにより外壁に結露が起き、結果的にカビが繁殖してしまったのです。

外壁がカビているということは、壁の中も間違いなくカビてしまっています。

考えただけでもおぞましいですよね(笑)。

 

昔はグラスウール一択だった断熱材ですが、今はたくさんの種類の断熱材があります。

どれも各社が精魂込めて研究開発し、断熱性能を競い合っています。

ここではどの断熱材が良いとか悪いとかということを論じるのはやめておきますが、私は昔ながらのグラスウールでも充分な断熱効果を出すことができると思っています。

値段も一番安いですからね。

逆にどれだけ高価で性能の良い断熱材を使っても、施工が悪いと本来の素材が持っている性能を発揮できないということです。

 

グラスウールなどの繊維系の断熱材も付属のシートをきっちり貼って断熱材がずれないように施工したり、断熱材を入れ込む時にも端々まで施工マニュアルに沿った丁寧な施工をすることが重要で、そうすればカビを防ぐことができるのです。

 

サッシは最低でも樹脂の複合サッシにしましょう

住宅で最も熱が出入りするのは実は窓なのです。

窓にはサッシの枠の部分と嵌っているガラスの部分がありますよね。

 

まずサッシの枠ですが、昔はサッシではなく木の枠でした。

雨に打たれたり、結露が起きて敷居まで垂れたりすると途端に開け締めができなくなったものでした。

その後アルミ枠のサッシが登場しましたが、アルミという素材は熱伝導率がとても高いのです。

夏は外の暑さを家の中に伝えてしまいますし、冬はせっかく温めた家の中の空気を外に逃がしてしまいます。

熱伝導率が高いということは、もちろん結露もガンガン起きてしまいます。

結露が起きると、必然的にカビの温床になるというわけですね。

 

ガラス部分も単板と言われた一枚ガラスから始まり、複層と呼ばれる2枚ガラスになり、今では3枚ガラスのサッシが当たり前になっています。

各ガラスの間には空気層が設けられており、先程のグラスの実験と同様、空気層があるサッシだと結露は起きず、カビも発生しないということです。

 

現在では、樹脂を使った二重サッシや三層サッシが出いるので、ご予算もあると思いますが、そういったことを説明して勧めてくれる工務店を選ぶようにして下さい。

 

内装材には調湿効果のある素材を用いましょう

最後は、内装材です。

せっかく自然素材の家を建てる、もしくはリフォームするわけですから、調湿効果のある内装材を選んでカビとはおさらばできるようにしてくださいね。

調湿効果のある内装材と言えば代表的なのが漆喰や珪藻土です。

そういった品揃えをしている工務店を選ぶようにして下さい。

もちろん漆喰や珪藻土も色々な種類の商品が出ているので、工務店にちゃんと説明してもらって、納得がいくまで検討することをお勧めします。

 

最後の最後にちょっとだけ宣伝です。

当社では内装材、特にフローリングや天井、腰壁などにモミの木を使用することをお勧めしています。

モミの木の性能は別ページに詳しく書いてあるので、是非ご覧になって下さい。

ちなみに当社檜興業の事務所の内装もモミの木を使っています。

モミの木の性能を体感していただけるようになってるので、ぜひ一度事務所にもお越しください。

湿気がないのでサラッとした空間で、なぜか空気まで美味しく感じていただけますよ!

モミの木体感ルームオープン

あ、ちなみにモミの木は釜で人工乾燥させるとせっかくのモミの木の調湿性能が落ちてしまうので、当社で使用しているモミの木は天日で丁寧に自然乾燥させたものをあえて使っています。

素材の特徴に合わせた選択も必要というわけです。

もみの木を使った空気のきれいな家

 

ついチカラが入って文章が長くなりましたが、「自然素材で家を建てる、リフォームする時の工務店の選び方 〜自然素材の家はカビないのか?〜」についてご理解いただけましたでしょうか?

次回も、「自然素材で家を建てる、リフォームする時の工務店の選び方」について書きますので、続きが気になる方は、ブックマークしておいて下さいね。

それでは、また\(^o^)/