東みよし町のご近所で、丸太を使った差掛け屋根を建てる

先日、ご近所の方に差掛け屋根の仕事を頼まれました。差掛け屋根とは、既存の建物にちょっとした屋根を取り付けるもので、例えば洗濯干し場として利用するものと思えばイメージしやすいかと、思います。

テキスト

差掛けの仕事はよく頼まれるので、何件も施工経験あるのですが、今回はお施主様の要望で
「ウチにある柱を使って欲しい。」との事でした。その柱というのが、写真の丸太柱です。
正直、丸太を使った仕事は何年もやって無かったのですが、引き受けた以上、やらない訳にはいきません。幸い、丸太といってもわりと真っすぐだし、そんなに太くないので、まあ、大丈夫でしょう。

この柱、どうやら鯉のぼりの竿として使用してたみたいです。元口(根元)がキレイに切れてあったのでそのまま使います。適当に芯墨をだします。余談になりますが、「テキトー」っていうと、いいかげんに、とか、なんとなくって意味で使われますが、この場合の「適当」は文字どおり、適した、相当のって意味です。決して、なんとなく芯出してる訳じゃないです。
話が逸れついでに「適材適所」は元々建築用語であって、柱等、建てて使うものには桧や杉を、桁、梁等、横向きに使うものには、たわみに強い松を使う、といった、「適した箇所に適した材料を使う」と言う意味らしいです。

表面に縦墨をだします。根元部分は真っすぐに加工してあったので、比較的、墨だしし易かったです。
これが、写真の左部にあるようなまともな丸太だと結構なテクニックを要します。

ホソ付けをして、今回の丸太の細工は完了です。ホソとは、桁(横架材)と柱(縦材)との結合部の細工です。柱にホソ付けして、桁にホソ穴を掘ります。

無事に建てる事が出来ました。あとは、屋根を葺けば完成です。

側面からです。これで屋根勾配1/1.5です。
今回は、丸太も柱だけでしたし、ホソ付けだけの細工だったのでわりと簡単に出来ました。
桁も丸太を使うとなると、水平方向の墨だしも考慮する必要がありますし、柱との結合部の突合せの細工も必要になるのでなかなか、大変ですね。
10年以上前から、木造建築も工務店の大工さんが自身で刻む(加工する)工法は減ってきて、プレカット工法と呼ばれるいわゆる、工場加工型に変わってきました。プレカット工法の方が、安価で加工スピードも早いので、それはそれでいいのですが、手刻みが出来る大工さんも減ってしまっている状況です。ましてや、丸太の加工となると、プレカットでは対応できません。
大手ハウスメーカーもいいですが、地域密着型の小さな工務店、地元の大工さんも大事にしてもらいたいものです。